アントン・チェーホフは、本当にあった事しか書いてないんだそうだ。
メモ魔で、あらゆる事をメモしてあって、その中のエピソードを戯曲にしたらしい。
事実は小説より奇なりというけど…、なので、彼の戯曲は頭で理解しようとしても難しいのだと思う。
人は本当に悲しい時は笑ってしまったり、どう考えてもなんであんな事しちゃったのだろうと思う事がよくあるものだし。
じゃあ、頭じゃなく、なんで芝居をつくるのかというと、自分自身の体験からしかない訳さ。
うちの劇団がなかなか上質な芝居に急速になれない理由もそこにあって、自分自身の体験と戯曲がうまく結びつけれれない、その事に非常に時間がかかるって事なんだよね

一人の何十年かの人生を、ちょっとずつ自分の体験を使ってうめていく作業をしない事には、チェーホフの戯曲は体現できない気がする。
気がするというより、体現できないよねえ…

っていうのが、この「かもめ」を観た一番の感想

そもそも、なんでこんな広い小屋で、あのメンバーで「かもめ」をやろうと思ったんだろうか。
もっとエンターテイメント作品だったら見ごたえもあったろうに…
なんか、もったいないやら、あきれるやら、元気がなくなった。
誰の?
あたしの(笑)
それぞれの役者は、皆頑張ってると思う。
竜也もそりゃあ、はりきってたし、頑張ったと思う。
だけど、いかんせん、チェーホフ、かもめ…
そりゃあ、無理だよって言うしかないよなあ

どっかで観た「かもめ」
ああ、こんな風にやるよねって感じ。
訳も、新訳とか聞いてたんで、期待してたが、ほとんど変わってなかったね。
これで、1万円…
どうですか?みなさん。
私は、個人的には鹿賀さんのファンなんだけど(照)、彼の評判がよくなくて悲しい。
だって、鹿賀さんは、鹿賀さんで、けっしてチェーホフ作品をやる役者さんじゃないと思うよ~~

芝居には、向き不向き絶対にあるでしょ。
彼は悪くない、キャスティングマン(レディ?)が悪いと思う。
そういう意味では、竜也氏は、非常にトレープレフをわかってる人なんだけどねえ。
ちょいちょいと面白いとこがあって、そこは笑わせてもらいました。
私が笑うのは、「人間ってそうなんだよなあ」っていう、しょうがなく馬鹿なところで、皆が笑ってる「面白く」演出してある場面ではないかもしれないけど。
(日本語の喜劇という意味は、コメディだと思われてるのかな?
喜劇と笑劇は違うだろ?
あんな演出いらんと思ったが、どうだろうか。)
でも、もっともっと彼の内面を見たかったなあ。
藤原竜也自身のトレープレフが見れたらよかった。
多分本人もそのあたりに消化しきれない思いがあるんじゃなかろうか。
あの人は、力みがない時は、ほんとに透明で美しい。
全体の印象としては、皆が皆(演出家も)戯曲に翻弄されて、もがいてる感じだったなあ。
自分ひとりで頑張ってて、他をみる余裕がない。
もっと他の役者から、お客さんから、舞台から、セットから、宇宙からエネルギーもらったらいいのに~って思いました

そういう意味では、チェーホフだったな。
きっと草葉の陰でチェーホフがメモとってんだろう、次の芝居に使えるように(笑)
終演後、楽屋に行くと、皆がそろってるので、喜んでた

「なんか芝居できそうですね~」って。
身毒丸やるか?
疲れてるのに、「狭いから入れないよ~」なんていいながら皆を楽屋に入れてくれた。
相変わらず、汚いけど(笑)
色々と、芝居の話して、
「大変だろうけど、がんばってね~」って帰ろうとすると
「人事だと思って~(笑)」と言っていたけど、ほんと人事ですから(笑)
こういう舞台は、しんどいな…、ほんとしんどいけど…
役者魂もってる人だからね、頑張ってほしいです

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