絶対とるのは無理だろうと思ってたチケット、その名は「ムサシ」!

行ってまいりました~。
思えば、去年は、あのムサシ君と一緒に、ここの舞台に上がっていたんだなあ。
なんか、与野本町の駅から劇場への道、そしてロビーにいたるまで、若い娘さんが多いような気がするのは、華やかな雰囲気がするのは気のせいですか?
井上さんの戯曲の常として(?)本が出来てないというのは聞いてて、チケットとるなら、なるべく楽日近くとまで言われてましたが…
いやいや。。
かなりの面白さでした。
以下、ネタバレ(?)含みますので、未見の方はご注意下さいませ。
最初の、決闘のシーン、あの後ろ姿、小栗君だって、知ってました???
知ってたか。。。
私は、気付きませんでした。
だって、後ろ姿だよ、しかもやられるんだよ!
いや、まあもちろん対決のシーンですからね、ムサシと小次郎の。
始まって5分が勝負!といつも言う蜷川さんの、『ムサシ』最初の5分。
なんと、素舞台!!
書割の海。
なんて、挑戦的!
なんと、二人の役者を信頼してることか!!
そして、その期待を裏切らない、藤原氏の緊張感。
すげーなー。
看板を背負うこと、この舞台に対する責任、そんなもろもろの事が全部、彼の一瞬の表情にのっかってる気がして、なんか、すげーなーとしか思えなかった。
そこから一転、蜷川さんのお得意の場面転換は、そりゃあ見事で、あっという間に、私達を山奥の寺に連れて行ってくれた。
継太さんの軽妙な芝居で、しばしご歓談を的雰囲気になり(笑)
そこからは、もう「ムサシ」という舞台の中へいっきに。
出演者は少ないんだけど、それぞれがきちんと自分の役割を果たしていて、どのシーンも見ごたえ充分。
かなり笑わせて頂きました!
さすが、あてがき!!というシーンがふんだんに盛り込まれてて、観客はもうたまらんですね~。
鋼太郎さんも、私はこんな役の時の方が好きです。
加代さんの役なんて、これ加代さん以外の人が演る事なんて、作家は考えないんでしょ?ってつっこみたくなるくらいやりたい放題だし(笑)
小栗君は近く来るし(って、それは関係ないか(笑))
この舞台観てて、一番感じたのは、チームワークのよさ。
戯曲があがってこないという、一番の役者にとってもプレッシャーが、皆の気持ちを1つにまとめたのかもしれないですねえ。。
舞台の上なのか、稽古場なのか、飲み会なのか(笑)わからないような、くんずほぐれつを見ながら、こっちもほほえましい気持ちになりました。
「公開の孤独」って言葉があるけど、役者がお客さんに見られてるんじゃなくて、舞台の上で本当に相手役とだけ仕事をしてる姿は、見てて気持ちがいいです。
彼らのプライベートな瞬間が覗き見できたようで。
いやあ、しかしほんと私が言うのもなんだけどさ、小栗君ってうまくなったよね~~~~。
最初の「ハムレット」の頃を思い出すと…
すげーなあと思います。
藤原氏は、相変わらず全力ですね!
もうちょっと、キレイなかっこさせてあげてよ~。
二枚目なんだからっておもうけど(笑)
ああいう役が似合ってもいるんだよね。
だけど、彼が「私は35歳」って言った時、客席からくすくすって笑いがおきて、私はああなんかかわいそうだなって思ってしまった。
竜也は、本当は早く年をとりたいんじゃないんだろうか…と私は思いました。
中身と、彼が求めてる芝居と、彼の外見がどうもつりあってなくて、そのことを彼自身が一番苦しんでるように…って勝手に私が思っただけだけど(笑)
どんなに頑張ってても、どんなにやってもどうしても年月しか解決しない問題ってものがあるのだとしたら、今彼が苦しんでる事は、無駄ではないのだよと言ってあげたい。
彼の方がスターなので、おこがましいですが、まあ役者年は私の方が上なので(笑)
私も、過去にやった役を今になって、理解するときがあるけど、それは役者を続けていられたからだと思うしねえ。
と、話がとんだ…
まあ、ほんとうに、楽しめた舞台でした。
しかーし!!
やっぱり書けなかっただけあって、戯曲はひどかったですよ。
役者の力と演出でもってたと思う。
後、お客さんの愛の力。
楽しんで見ようという気持ち。
あれだけ年をとった、重鎮ともいうべき戯曲家が、あんな単純なテーマを書いちゃいかんと思うのよ。
それだけか?人間は?
生きてりゃいい。死んじゃいかん。
そして???
そこが書いてほしいのよ~~!!
と私などは思ってしまうが、わかりやすくていいという意見もあるので、いいのかもしれない。
(どっちやねん)
しかし、もっと後からずしんと来る芝居を観たいです。
そして、あれだけの役者が出てるのだから、それだけのものを出来ると思うのです。
もったいなーーーーーい!!!!
終演後、楽屋に行きました。
ほんとうに、ほんとうに、ほんとうに、みんな、みんな疲れてた。
それでも、焼肉弁当食べて、シップして、ほんの短い仮眠とって。
私が観たのは、昼公演だったけど、夜公演まで、ほんと1時間くらいしか休めないのよ。
「面白かったよ~~」って言うと、皆喜んでた。
本当に、嬉しそうに、ほっとした顔してました。
終演後、どの芝居の楽屋に行くとぎょっとする。
あまりにも役者が疲労していて。
それでも、面会のお客さんがいる間はニコニコしてて、さわやかな、「やってやりましたよ、今日も!」みたいな顔をしてるけど、皆帰った後の姿は本当に見ててつらい。
多分、私が同じ職業だからそう見えるのかもしれないし、私だから見せるのかもしれないけど。
それでも役者は舞台に立つし、それが楽しいと思うのだ。
そして、そこまで頑張らないと、これだけのものはつくれないと思うのだ。
痛みを伴う喜びがあるとしたら、それは芸術なのかもしれないなあと思う。
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