ふと思い立って、深夜の六本木ヒルズまでママチャリを飛ばし(笑)
観て来ました。
『ブラック・スワン』

すっごい怖い…と聞いてたので、帰り1人で帰れなくなるかと思ってましたが、そういう怖さではなかったですね(笑)
いやあ、しかし怖かった…
私、ああいう夢よく見ます。
あと五分で本番、でも台詞覚えてない!
とか
本番の幕があいてるのに、衣装を着てない!
とか
舞台の上で大失敗をする!
とか…
なので、観てて怖くて怖くて、胃がきゅーっとなりました

追い求めてる時はいいんですよね。
でも、それが実際に手に入りそうになると怖くなる。
普段私も、仕事くれ~、仕事がない~と言ってるけど、いざ仕事になると憂鬱になってしまう。
本当は、やりたいけどやれないんです、やったらすごいんですけど!
って思っていたいんでしょうね、エゴですね。
以下、ネタバレあるかもです。「自分をさらけ出すんだ」
とヴァンサン・カッセル演じるところの振付家で演出家であるトマスはナタリー・ポートマン扮するニナに言うが、確かにそれができなければどんな役でも演じることはできないのである。
自分自身の限界を乗り越えた時にしか、作品は生まれない。
そーいう意味でいうと、ニナはかなり精神の弱い、クリエイターには向かない性格とも言える。
わかるよ、わかりすぎるよ~。
うまくいかなくて、すべてを忘れたくて遊びに行っちゃって、そして寝坊して…
ああ、もう痛すぎる…。
ニナがああいう精神状態になった原因は、母親の愛にあるのだけど、その母親の描き方が素晴らしかった。
ああ、この映画の高評価はここだなと。
自分たちもちょっと違うなと思いながら、でも相手の事を思いやるあまり(それも実は違うんだけど)健全な関係が作れない。
どちらも相手に依存している。
そのバランスが崩れると、取り返しがつかなくなってしまう。
母親が、ケーキを捨てようとするシーンとかすごかったね。
私は、ニナの楽屋で殺されているのは、実は母親なんじゃないかと思ってしまった(笑)
ストーリーは、どうでもいいし、「新しい『白鳥の湖』を創るんだ!」と言ってる割に、こてこてですけど?てな突っ込みどころとか、このお色気シーンはいるの?とか、最後はどうなのよ?とかアカデミーか?って映画でもあるのだけど、やはり秀逸は、この母親との描き方だと思う。
母親と娘でもあり、ダンサー同士でもありと、愛情と憎悪のからみあった濃い関係が、観てて気持ち悪くなった。
ストレスで、自傷行為をするニナに対する母親の行為が、「それが助長してるのよ!」と言いたくなることばかりで、怖かった。
最終的に、追い詰めてるのは「自分自身」という結果になるのだけど、その自分自身は母親の鏡でもあるんじゃないだろうかと思った。
「完璧に」「完璧に」
とニナが言うたびに、それがナタリー・ポートマン本人の言葉じゃないだろうかとぞっとした。
子供の頃から、あれだけの現場を踏んで、この作品においても、あれだけのダイエットやらバレエのレッスンやら、ハンパなもんじゃないよな。
(私には、本当にナタリー・ポートマンが踊ってるようにしか見えませんでした!その話をしたら、妹に全然身体が違うじゃん!と言われたけどw)
そんな彼女の心がにじみ出てる作品は、そりゃあ怖いよね。
ブラック・スワンに変身する時の顔がすごかったね!!
ああ、いい役者だな~~~~~と思いました。
あの顔だけで、はい、アカデミー賞女優ですねって感じだよね。
ああいう役の創りかたはよくするんだけど、真逆をずーっと誇張して演技しておいて、見せたいところで自分の本当の顔を見せるという。
ずーっと演技し続けていたナタリーの本物の顔があの瞬間!なんだと思う。
怖い女優!!
いやあ、本当に怖い映画だったなあ。
こんだけぐさぐさやっておいて、最後があんな肩透かしって…
どうなんでしょう。
あんなところで、終わって満足げな顔をする女じゃないでしょニナは(笑)
そして、あの程度の大きさの舞台で踊るのにあんな精神的なプレッシャーを感じてたの?てくらいの規模の公演でしたね。
なんか、最後の最後にきて話がちっちゃくまとまっちゃったなあという印象で、残念でした。
でも、映画ってほんといいもんですよね。
また、チャリこいで次の映画館へ行こうっと。
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