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arika

Author:arika
妻鹿有利花 (めが ありか)

日々、派遣社員として働いたり、演出家にどなられたり、、レパートリーの稽古したり、オーディションに受かったり、二日酔いになったり、芝居がうまくいったり、ダイエットに失敗したり、動物の森にはまったり、ワークショップに通ったり、フラダンス踊ったり、している女優です。

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㈱出海企画
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のっけからぎょっとした。。

「おやすみ、かあさん」の幕開きである。

白石加代子さん演じる、セルマに会うのは二度目だ。

「やられた!」と思った。
初演のセルマと今日のセルマは全然違った。
確かに、どっちでも成立する。(もっと成立する母親像はたくさんあるのかもしれない)

どこかで、この間のセルマに違うジェシーをあてはめた舞台を想像していた安易な自分に腹が立つ。
そこが、一流の女優と三文役者の違いだ

初演のセルマは、ふわふわとした一人で生きていくのが苦手~な子供っぽい母親だった。娘の自殺にただひたすらじたばたしている愚かでかわいそうな人に見えた。
今回のセルマは、自分の事が大好きな母親に思えた。(舞台の始まったすぐは。実は違う事がわかってくる)

初演の渡辺えりさんが強烈だったので、中嶋朋子さん演じるジェシーが普通に思えて、この人が自殺するか?この人が癲癇持ちに見えるか?この人にコンプレックスあるか?と違和感があって、最初どうしても話しに入り込めなかった。
言葉の端々が現代風で、加代さん演じるお母さんが舞台の中の人だとすると、中嶋さんは映像の中の人のようで違和感があった。
お互いの熱がうまく伝わりあわないような…

が、途中から、ぐいぐい引き込まれ…

気が付いたら、涙がボロボロでていた。

私もこの戯曲が大好きで、分析をやったこともあるからかもしれないけど…

戯曲のテーマがどんどん明確になって、心にずきーんと入ってきた。

ああ、せつないなあ。

全然似てないのに、セルマが自分の母親に見えてきて、セルマが苦しむ姿がまるで私のせいのように感じる。
実際にあったわけではないのに、そうやって母親が困る姿を見てきたような気がする。

だからといって、私がジェシーの立場かというとそうでもなくて、ママの立場や気持ちもすごくよくわかって、二人の間をいったりきたりしていた。
だから倍泣いたのだと思う(笑)

改めてすごい戯曲だと思う。

これは、あらゆる人にとって痛い戯曲である。

人間は、誰でも一人なのに、なぜかそれを忘れてしまうのだ。
自分って、いったい何なんだろう。
他人に評価してもらうしか価値がないのだろうか人生って。
自分で決める事のできるものが本当に自分の人生で一つでもあるのだろうか。
自分の一番大事な愛している人を、本当に愛してると言えるのか?

普段、絶対に見ないようにしてるけど、ふと見てしまって居心地の悪い事になる場所。
そこに、ジェシーとセルマがいる。
二人ともがいるから、二人ともを好きでわかって、でも闘わないわけにはいかない。
それが生きるって事でもあるから。。。

セルマがついに
「いいわ」
と言った、そのたった一言がすごく怖かった。
ああ、この人すごい…とセルマというか加代さんというか、その女の人を思った。
受け入れた…。

自分のものだと思っていた娘の死を、プライベートなものとして受け入れた。
(最後の最後には抗うのだけど)
そこからの加代さんの中のシーンとした空白が怖ろしかった。

母親は、強いなと思った。

初演の時は、ジェシーの強さに驚いたけど、今回はママの強さに驚いた。
誰よりも孤独で傷ついていたんだと今回の上演ではじめてわかった。

家族や近しい人って、不用意に相手を傷つけてしまって、まったくその事に気付かないことがよくある。
近いからこそ絶対に許せない事とか、深く憎んでしまうこととか。。
「たまたま生まれためぐりあわせ」
とセルマが言うが、ほんとうにそうなのだろうか。
家族ってなんだろう。
ほんのちょっと、運命がかわっていたらどうなるのだろうか。

セルマがあげつらう、「もし」にジェシーは答える、「でも」

最後の最後に二人は共犯になって、そしてジェシーは自分の道を歩み、ママも自分の生活を取り戻す。

一つ、残念だったのは、最後、ママがなべを洗うシーンを切ってあった事。
あの加代さんを見たかったと思う。

ああ、でも泣いてばかりのお芝居じゃなくて、ほんとに不意にぷっと笑ってしまうとこや、ゲラゲラ笑うとこもあって、またそれが後からぐっとせつなくなったりして…

ほんと、面白かったなあ。

終わって、色んな人と話をしたのも面白かった。
色んな見方があって、この芝居だからこそだなと思った。
私には、くっきりと浮き上がって見えたテーマがある人にとっては、まったく感じられなかったそーで、それもまた面白いね。
私が勝手に思ってるだけかもしれないしね。

ほんとに、演劇はあくまでも 「プライベート」 なんだなあと。

↓演劇って素晴らしい。↓


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