東京ノーヴイ・レパートリーシアターの「ワーニャ伯父さん」をお客様として観ました。
昼間、「どん底で」の稽古をやってて、それを見学したんだけど、いいシーンがあって泣けてしまった。
そのカタルシスをもう一度味わいたくて、夜「ワーニャ伯父さん」を見ることにしたんだけど、なーんか風邪ひいたいっぽいし、どうしようかな~、と悩む。ま、途中で帰ってもいいし~なんて気楽な気持ちで観に行った。
今まで、ワーニャ伯父さん、どれくらい見たかな。
きっと、何度も観てると思う。
稽古も見学してるし。
でも、初めてわかったんだよね!
色んな事が。
教授が、芸術について論文を書いてる人だって事。
今まで、台詞では言ってたのかもしれないけど、それがはじめて、よくわかった。
そしたら、エレーナが可哀想で、可哀想で。
芸術について詳しい人だから尊敬して結婚までしたのに、今ではピアノを弾くことさえ許されないんでしょ?
そんなつらい結婚生活があるだろうか!?
ワーニャ伯父さんも、ソーニャも、アーストロフも皆が知ってる、エレーナが窮屈で死にかけていること。それなのに、だんなだけが気付いてない。
そしてその教授は誰からも愛されてなくて、孤独で死にかけている。
マリーナだけはそれを気付いてる。
もうねえ、なにもかも、どのシーン、シーン、素晴らしかった。
衝撃的だった。
今回の、東京ノーヴイ・レパートリーシアターの課題は、「先、先、先!!」
テンポリズムと、アニシモフは言う。
竹刀片手に、先先先~~!!!と怒鳴る鬼と化してます。
怒鳴られるのが怖いから、役者は、必死で余計なことをしないように、とにかく単純に台詞を弾丸のように言うのです。
そしたら!!
なーんと、奇跡が生れ始めました。
その第一歩が、昨日の「ワーニャ伯父さん」の公演でした。
4幕までみて、それですべての意味がわかる。
1幕で、婆やがいいます、「サモワールがおきっぱなし」だと。
そして、4幕で「これで、また元通りだ。キリスト教徒らしくきちんと生活できる」
この瞬間に、この人物の考え、生き方すべてが、ぱーっとわかってしまう。
役は、自分ひとりでつくるのではないんだなあ。
一緒に出演してる役者、そして2時間という上演時間、そのすべてが、役を説明してくれる。
2時間一緒に、その登場人物とすごして、観客は、その登場人物がどういう考えをもってるのかを理解する。
これが、本当に快感だった。
そこに、芝居の上の、登場人物としてではなく、ある一人の実在する人間がいて(しかも100年前の)、今目の前で、本当に苦悩して、解決策をみつけようとしている。
そんな場面に出くわしたら…
きっと、言葉では伝わらないと思う。
でも、ほんとに、私は、大爆笑したし、号泣したし、腹も立ったし、でも本当に皆をいとおしいと思った。
演劇ってすばらしいと思った。
そんな芝居を私もしたいと思った。
そんな場にかかわっていられる事がとても幸せだと感じる。
風邪っぽかったのが、ぜーんぜん平気になっちゃった。
良い芝居は身体をも癒してくれる
テーマ : こんなの観ました! - ジャンル : 日記
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)