チェーホフ作 「ワーニャ伯父さん」
最初に、この芝居を観たときは、なんてつまらない話だろうと思いました。
愚痴を言ってるのを延々観るなんて、耐えられないと…。
それが、何度も観ているうちに、ああなんてすごいんだろうと今では一番好きな作品になりました。
それは、東京ノーヴイ・レパートリーシアターの「ワーニャ伯父さん」の舞台。
下北沢の劇場は狭くて、本当に目の前で役者が話しているから、なんだかワーニャ伯父さんの家にいるような気分になる。
彼らが、
「100年後、200年後の地球上に生きる人は…」
と話すとき、本当に100年前の人達が私の目の前にいるような気がする。
そして、その人達が苦しい生活の中で、でも未来は明るいに違いない、そうだったらいいのにというのを聞いて申し訳なく、恥ずかしく思う。
舞台の上で、生きてる100年前の人と、客席の現代の私が一緒に物を思う。
「ワーニャ伯父さん」は、そういう素晴らしい宇宙的な芝居だ。
という訳で、「ワーニャ伯父さん」を観に行きました。

出演:木場勝己 ・ 伊沢磨紀 ・松本紀保 ・ 柴田義之 ・ 戸谷昌弘 ・ 小須田康人 ・楠侑子
木場さんから、ご丁寧なお手紙を頂き、これは期待せずにはいられない!!
ぜひ行くべし!
と早々にチケットを取って楽しみにしてました♪
あうるすぽっとって、舞台高くない?
なんか、みにくい。
奥までちゃんとセット組んであるのに、前のテーブルが邪魔でちっとも見えなかった。
この間の、
エイヨルフのときも思ったけど、なんか舞台が高すぎて芝居の雰囲気とあわないんだよなあ。
しかし、最近できた劇場、どこの劇場もいまいちなのは、何でなんだろう?
残念だ…。
で、お芝居ですが…
う~~ん。
分かりやすくしたのかなあ。。
短くカットもしてあったし、となりのおばさんとおじさんは、すごく笑ってたから、面白いのかもしれないけど…。
私はかなり不満足でした。
一緒に言った友達が「下品」と言っていたが、その通りだと感じた。
そして、私の印象は「安っぽい」
お金がないんだろうなって思わせるのは仕方ないけど(確かに、ないんだろうなあ)、何もかもが中途半端な気がして。
チェーホフの戯曲の広がりを、身近な恋愛問題だけにしてしまってるようで。
私が好きだと思っている「ワーニャ伯父さん」の部分がすっかりなくなって、下世話な話になっていたように感じましたが…。
もちろん、木場さんが頑張ってやってるのは、感じるけど、悲しいかなお芝居って一人でやるんじゃないんだよねえ。。。
でも、短期間でお芝居をつくるって事は、所詮ここまでしかできないって事なんだろうなっても思いました。
だって、東京ノーヴイ・レパートリーシアターの「ワーニャ伯父さん」は、作品を上演し始めてからすでに9年目に入ろうとしてるんだから。
それでも、まだまだ(役の中が)埋まっていないというし(笑)
それだけかかるんだなと思う、何かを伝えようとすると。
ただ、木場さんの「ワーニャ伯父さん」は、中年の持つ悲しさ(男としての)は感じたね。
はじめてそれは感じた。
(東京ノーヴイ・レパートリーシアターのワーニャ伯父さんを演じてる俳優はまだ若い)
というのは、きっと木場さんがそれを感じているからなんだろうね。
でも、チェーホフの書いてるワーニャ伯父さんは、男の部分としてというより、人間としての無力感を感じてるんだろうけどね。
なんで、男としてダメになっていく中年の悲哀という意味ではすごく面白かった。
ああ、男ってかわいい生き物だねえって。
残念だったのは、松本紀保さんがエレーナをやっていたこと。
あの人こそ、ソーニャをやれば絶品だろうに!!
だって、あの人ほどコンプレックスの大きい人はいないだろう。(って勝手に私が思ってるだけだけど)
役者のコンプレックスこそが財産で、観客はそれを観て笑ったり泣いたりするのだ。
彼女が
「私は不器量なの」って心から言ったら、観客は死ぬほど泣いただろうと思う。
その時、誰よりも美しいソーニャが見えるのに。。。
ああ、また観たくなったな、「ワーニャ伯父さん」
ぜひ、観て下さい。
東京ノーヴイ・レパートリーシアターの「ワーニャ伯父さん」の公演は
次回、3/14(土)19:00
3/21(土)19:00
私もまた泣こう。。
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テーマ : こんなの観ました! - ジャンル : 日記
こちらこそありがとう。
寂聴さんが言ってました。
事実と真実は違うと。
芸術家は真実に近づけるんだと。