蜷川幸雄演出:『ファウストの悲劇』
ようやく観てきました~~

9,500円と言う高額チケットにビビッて観ないでもいっか~と思っていたのですが、『ガラスの仮面』の稽古場に言ったら、皆が観た方がいいよ~というものですから。。。
いやあ、結論から言うと、行ってよかった!!
観てよかった!!
ネットの評判は賛否両論と聞いてたので、あまり期待していなかったんだけど(失礼。。)
のっけからの勝村氏のがんばりぶりに胸がキュントなってしまいました。
絶対に手を抜かない。
芝居に対する愛というのか、真剣さに痛いくらい感動した。
彼の全力芝居が私はいつも歯痒くて、彼と喧嘩したこともあったけど(何様だ私は。。)、いやあ今回の彼は本当にかっこよかった。
楽屋で「かっこよかった!」と言ったら、ぎょっとした顔してたけど(笑)
私からそんな事言われるとは、思わなかったのでしょうか。。。

悪魔だの天使だのがわんさか出てきて、そりゃあもう豪華絢爛。
舞台の後ろは、遊郭風のセットでそれがずーっと裏としてしか見えないところとか、奈落の下まで見せるとことか、もうこれでもかこれでもかというお金のかけ方に、9,500円のチケット代でも元とれないでしょ~と納得しました。
1幕はただただ、もう
「お金をかけた馬鹿騒ぎ」
それが、楽しくて、楽しくて。
シルクド・ソレイユ好きの私のめっちゃど真ん中のつぼでした。
セットやら明かりやら音楽やらがすごいと、芝居になった瞬間にがくっとくる事も多い蜷川さんの芝居ですが、今回の舞台は役者も皆達者な人ばかりで、見ごたえ充分。
勝村氏は本当によかった。
彼のお得意の、役と素顔の使い分けがとても今回きいてて、この舞台を観た人誰もが彼を好きになるだろうなと思った。
鷹さんや大門さんもいい配役ぶりで、日本とか現代とかとこの作品をうまーくつなげていたと思う。
マメさんもめっちゃかわいくて、客席の笑いを独り占めしてました。
身毒丸仲間のカイも、(いつもカイが出てくるとドキドキしちゃうんだけど)良かった!!
ただ、女子バレー好きだった私にとって、大林さんはスターなのでこんな風な姿見たくなかった。。とちょっとショック。
ヘレナをやってくれてたらよかった。。
(ヘレナ、めっちゃきれいだった~~~~~~

)
まあ、蜷川さんにとっての本当の美は、女性にはないのかもしれませんが(笑)
ただ一つ思い出したのは、残念ながら私は萬斎さんの芝居が実は好きでない。
彼が台詞を言うと、頭がぼーっとして意味が入ってこないのだ。
でも、彼の動きは実に美しかった~~。
そして、きっと彼の演技はとても安定しているのだろうと思う。
ただ2幕の最後は、やはりもっともっと苦悩して欲しかったなと。。
観客にも涙を流させて欲しいと思いました。
萬斎さん個人の思いをもっと味わいたかった。
ファウストとメフィストフェレスの関係性も、蜷川さんの意図はわかるんだけど、いまひとつうまく機能していなかった。
多分、勝村くんのあのこざっぱりとした性格のせいだと思うけど(笑)
萬斎さんが色っぽいだけに残念。
私の席は、とても素晴らしいところで、役者はバリバリそばを通るし、長塚さんに絡まれるしと美味しさ満載だったのだけど、その効果もかなりあったと思う。
ん~って気持ちが離れると、また舞台にがっと集中させられて、気抜けね~みたいな(笑)
なので、私はこの芝居とてもとても面白かったけど、もっと後ろの席で、客観的に観たら感想はもっと違ったと思う。
しかし、ファウストってかなりわかりずらい作品だと思っていたので、とてもわかりやすくて、単純なお話に仕上げた蜷川さんの手腕天晴れでした。
人間が、魂を売ってまで手に入れたいものなんて、本当にくだらないものなんだな。。。
というか、人間の欲望って所詮そんなたわいのないものなんだなと。
だったら何を大事にして生きればいいかわかるでしょと。
だから、悲劇であればあるほど喜劇なんだなと。
ファウストは蜷川さんなんだなと思った。
そして、最後に出てくる老人は、蜷川さんの良心なんだろうな。
がはがは笑って、久々に心から
「めっちゃ面白かった~~」といえる芝居だったけど、今色々と思い返すと、深いテーマだなと思います。
いやあ、おなかいっぱい。
ご馳走様でした。
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