男の中には誰でも平野監督がいて、女の中には由美香がいる。
と言ったらいいすぎなのかもしれないけど。
男と女はわかりあえないのだなあと切なく思った。

「監督失格」は女優由美香を失った監督の物語である。
ネタバレ含みます。観終わった感想は、「は~~~~(ため息)、ロマンチックやなあ~」
その直後、エンドロールで流れる矢野顕子の「しあわせなバカタレ」を聞いて涙がつーっと出た。
胸の奥がきゅーんとなる。
ああそうだ、この「しあわせなバカタレ」と由美香がテントで寝転んでる姿を予告で見て、絶対この映画観る!と思ったんだった。
で、実際観てみたら、「由美香が死にました」と泣く映った人物が平野監督ではなかった事を知り愕然とする。
勝手に、平野監督が由美香喪失を乗り越えてがんばって撮った映画だと思っていたのだ。
監督自身は、由美香の死体を発見した時も(第一発見者は監督)、葬式の時も泣かなかったという。
それはそれは幸せそうに見えるロードムービー。
喧嘩もそれはそれで幸せそうでニヤニヤしてしまう。
旅が終わるに近づいて、由美香がなんだか不機嫌になっていってるようで、それもなんだかちょっとわかる気がしてせつなくなる。
平野監督が撮ったちょっと眠そうな由美香の顔がすごくいい。
「しあわせです…」と答える顔。
前に、カメラマンの方が
「(映像で)演技は映らない事もあるがカメラマンの考えはうつる」って言っていたけど、まさにこのシーンには監督の由美香愛してるって考えが映っていて、心がキュンとした。
旅を終えて、二人は別れてしまう。。
そして由美香は死ぬんだ。
それを知ってるから、これを観てせつなくなってしまうのかもしれないけど。
由美香に「監督失格」と言われたと平野監督は言っていたが、確かに監督失格なのかもしれないと思う。
一番観たい、ほんとのほんとの真実の考えを伝える事ができていないと私はこの映画を観て思った。
だから、「ロマンチック」って言葉がでてくるんだけど…
ああ、男の人はこの映画好きだろうなって思う。
女子はどう思うかな。
最後に監督が「自分の気持ちにやっと気付いた」って自転車をこぎながら、泣くけど、そして撮影するけど、自分のありのままをさらけだそうとするけど、さらけだしきれなくてつらかった。
というか、残念だった。
ロマンチックなんだよ。。。
ほんとうは、最後は物のように荷物のように運ばれていく由美香の死体の映像だったらよかったのに。
と私は思う。
それが真実で、それをみた時の監督の表情を撮れていたら監督合格なのかもしれない。
でもそれを見せなかった監督の、いまだに由美香に心をしばられている映画でそれが世の男性の心をうつのかもしれないけど。
北海道への二人旅の6年後の、監督はちょっと男前になってて自信がついててセンスもなかなかよくなってて「へ~」ってのに対して由美香の荒み方がちょっとすごかった。
あんなにかわいかった素直だった人がこんなにすれちゃうなんて、なんて怖い業界なんだろうと思った。
それからまた何年かして監督と由美香は会うけど、その時の由美香なんてほんとうにもう生きてない人みたいで怖かった。
それから逃げていて、結局逃げ切れなかったんだな監督はって思った。
由美香のお母さんも由美香から逃げようとして逃げられなかったんだなって思った。
ほんとうに、ほんとうにかわいくて私も由美香の事が大好きになってしまった。
だから、ほんとになんだかとても残念な気がするんだよ。
誰も由美香の事を理解してないんだろうな~~~って。
また、何年かして「監督失格」の監督がとる「由美香」の映画を観たいと思う。
林由美香さんのご冥福を祈ります。
呼び捨てにしてごめんね。
↓日本中が元気になる事を祈ります。押してくれてありがとう。↓

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