ちょっと前になるけども…
「往転」を観ました。
ネットでの口コミなどで話題になってましたね。
青木さんの舞台を観たのは、二度目。
日本のチェーホフ…と評されていませんでしたっけ??
往転は、オムニバスになっています。
横転事故を起したバスの乗客のそれぞれの物語。
正直言って、どこかで観た様な芝居、どこかで聞いたことのあるようなストーリー、良く見る役者です。
でも、芝居の達者な人達が出てるので、うまく見せてくれる。
若手の役者さんと思っていた方々が、いつの間にか普通におじさんやおばさんを演じる年代になっていたことに若干衝撃を受けましたが

峯村さんが良かったな。
ひたすら面白いおばちゃんと思わせといて、実は息子にお金を無心していたと告白するシーン。
ああ、なんでこうなっちゃったんだろう…
この芝居に出てくる人物は、皆
「ああ、なんでこうなっちゃったんだろう…」
と思っている。
あそこで、ああしていたら、こうしていたら…
自分で踏みとどまっていれば、こうはならなかったのに…
仗さんが言う台詞
「転んで痛い目にあえって事ですよね」
でも、転んだら、これ以上間違えることなく踏みとどまれるのかもしれない。。。。
自分で留まることができなかった愚かな人間は、神様の手(実際はバスの運転手のせだけど)によって強引に止められる。
転んで痛い目にあってしまった。。。
ミニチュアのバスをカメラ越しに見せる俯瞰の構図が神様の目に見えなくもない。
どんな風に思おうと、どんな風に生きようと死んだら骨になって蒔いてしまって終わり。
ずーっとそんな淡々とした目線が芝居中続いているようで、雨がずーっとしとしと降っているようで、なんか妙な感じでした。
すべてが薄い感じ。
皆、本物の人間なのか、幽霊なのか、自分の想像なのか…
たまに、私も、これって全部自分の妄想なのかもしれない、誰もいなくてただ私は病院のベッドに寝てるだけかもしれないと思ったりするのだけど、なんかこの芝居全体がそんな印象でした。
こんな風な話があった、こんな風な人がいた。
もし、それがこの作品の意図だとしたら、ぞっとする。
震災以降の世の中って、なんかそんな気がするから。
何もかもが不確かで、自分の信じてるものが足元からぐらぐら崩れていく…。
今日正しかったものが、明日は違う。
そんな世の中。
そんな世界で、くっきりと輪郭のある人だけが明日を見ることができるのかも…ですねえ。
そーいえば、芝居の前、ちょっと時間があったので本屋に行ったら高田さんをお見かけした。
本番前なのに…
すげ~なあ~と感心したのでした(笑)
↓みんな、曲がった道だとしても歩き続けてしまう。怖いことではありませんか。↓

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