こういう事を書くと、関係者各位に怒られそうだけど(笑)
ほんとに、ほんとに、久々にこころから面白い芝居を観た

面白い芝居というのは、こころが震える芝居って事。
魂が熱くなる芝居。
「下谷万年町物語」
他の人の事は知らないけど、私はもう心が震えて、意味もなくせつなくなって、きゃ~~~~ってこころの中でずーっと叫んでました(笑)
やっぱり天才すぎる!!
唐十郎の書く戯曲はなんて美しいんだろう。
なんてせつなくて、優しいんだろう。
あんなにも相手を思いやりつづけてる人ばかり出てくる戯曲を書ける作家は、世界中に唐十郎一人しかいないと思う!
以下、ネタバレ、個人的感想ふくみますのでそのあたりよろしくお願いします(笑)唐さんの出演日が少ないこともあり、チケット争奪戦をくぐりぬけゲットできた席は、バルコニー。
う~ん、観やすくはあるけど、できればあの水かぶり席に座りたかったっす。
水がかからない場所から、「もっとやれ~~」と思って観てましたが(笑)
西嶋隆弘君が出るのでチケットがとりづらいと聞いてたけど、客席の年齢層は高め。
めずらしくオジサマ率高く、これはやはり状況効果でしょうか???
久々に観た唐さんの勇姿は、やはりすばらしく
「唐さんだけアドリブ?」といつも聞かれてたのを思い出しました(笑)
(最後に歌ってた歌って、「透明人間」(現、「水中花」になってるんだっけ?)の曲だよね。今回のオリジナルなんでしょうか?「下谷万年町物語」の戯曲持ってるかた教えて下さい)
のっけから唐ワールド。
初演を観てないので、何の情報もないまま、ただオカマが死ぬほど出てくるんだってくらい。
もう、最初のミシンのタンゴでこころをつかまれてしまいました。
唐さんの作品の何がすきかって聞かれたらうまく言葉にできないんだけど、なにかしらこころの中の深いところにキューンと作用するのです。
無条件に好きとしか言えないのだけど。。
蜷川さんの演出の好きなところも同じなんだけど、理性に問答無用に訴えかけてくるんだよね。
「王女メディア」とか思い出しただけで泣けてくる。
「蜷川マクベス」の桜とかも。
ああ、日本人でよかった~と思う。
下谷万年町物語も、日本人的というか、ちまちましたちっちゃ世界の中で必死に戦ってるちっぽけな人の話でそれがまたせつなくも嬉しくあるというか…。
今、これを書きながら音版・唐組を聞いてるんだけど「雑巾の歌」というのがあるんですがその歌詞に
「まるで生きた雑巾」というのがある。
もうそれを聞いただけで泣けるというか…
唐さんの言葉のイメージ力は凄まじいと思う。
私が見た事のある唐さんの自筆の戯曲は、大学ノートにびーっしりと細かい字で横書きされていて、一冊のノートに3、4本戯曲が書いてあったと思う。
あの中にどれだけのダイヤモンドがあったかと思うと、鳥肌がたつ。
という訳で、もう溢れる言葉言葉がきらきらしてて、心に染みとおってたまりませんでした。
唐さんの戯曲は難解といわれるけど、実は全部が伏線になってて、最後にぱ~~~~~っと全部がつながって一個の話につながるという、非常にわかりやすい話なんです。
今回も、最初は「え?」「え?」って感じなんだけど、最後にすべてがわかるとぞくぞくしました。
ヒロポン中毒のキティがせつなくて…
しかし、この最後にわかる!っていう為には、本当に役者がちゃんと台詞を伝えてくれないと成立しないわけで…
そういう意味では、この「下谷万年町物語」は素晴らしかった!!!!!
藤原竜也が、もう出てくるだけで「唐十郎」ワールドを体現してて、彼が出てくるだけで舞台の温度が急上昇したと思う。
今日が楽日かと思わせるくらいの熱演ぶりで、あの手を抜かなさといったら、本当に本当に頭が下がる。
もっと楽をして、簡単にやれる方法もあるのだろうに、あえて果敢に苦しい方向へ立ち向かう彼はマゾかしら?
この寒い中、いくらぬるいとは言え水に入ると体も冷えるだろう、声も心配だろう、腰もやばいだろう。
それでも、唐十郎を体現してくれる藤原竜也に心から「ありがとう」と言うしかない。
彼の熱にひっぱられるように西嶋隆弘君も、本当によくやってると思う。(えらそう(笑))
とてもスマートで現代的で、子供子供した唐さんの作品の少年のイメージからするとちょっとクールっぽいなって思ったけど、今の時代にはいいのかもしれない。
彼がいいバランスで過去と今をつないでる気がする。
なんか、最近の役者さんってほんとにうまいよね。
誰も苦労せずに、ナチュラルな演技をするよね。
昔教わった新劇ってなんだったんだろうね…、余談ですが(笑)
「りえさんが良いだろ!!」
って目を輝かせて蜷川さんが言ってたように(竜也と蜷川さんあなたたち二人とも同じ事言ってるよ(笑)。)りえちゃんが、ほんとに良い。
あんなに細っこいのにパワフルで、運動神経抜群で、芝居もうまくて…それなのになぜか幸せそうに見えない(私がそう思ってるだけかもしれないけど)そこがすごい。
ヒロポン中毒で、施設に入れられたキティが本当に信じられた。
明るく笑えば笑うほどせつなくて、涙が出ました。
唐さんの戯曲は、虚実ごちゃまぜというか(どこまで本当なの?と思うこともよくあるが(笑))妄想の世界で、それをどれくらいの力でねじまげて真実にしてしまえるか。
役者の才能は、「信じる力」だと聞いた事がありますが、唐さんが信じた世界を蜷川さんが形にし、その世界に住んでるりえちゃんや西嶋くんや竜也が本気で怒ったり笑ったり泣いたり、苦しんだり喜んだりしてる。
それが強ければ強いほど、観客も真実の世界に連れて行ってもらう事ができる。
ああ、わかった。
唐さんの芝居観てると、頭がからっぽになるんだなあ。
言葉を追うんじゃなくて、役者たちのこころを追うだけなんだなあ。
お尻に花さして踊るらっきょさんとか、「子供には見せられないなあ」と言いながら嬉しそうにオカマやってるみなさんとか、以外にきれいな(失礼)六平さんとか、見所が山のようにあって一度では見切れない。
ああ、もう一回観たいなあ…。
「師匠にあった??」と竜也に言われてじゃあ…っと、何年かぶりに唐さんにお会いさせて頂きました。
蜷川さんとか、アニシモフとか怖いといわれてる演出家は数あれど、私が世界で一番怖いと思ってる演出家は唐さんで、蜷川さんと始めて仕事させてもらったとき「唐とはこんな風に話せないだろ(俺は優しいだろ)?」的な事を言われたのを覚えていますが(笑)
久々にお会いした唐さんは、優しく穏やかでした。
唐さんと同じ楽屋に金さんと六平さんが一緒にいたり、石井さんが唐さんのダブルをやったりと、私的には本当に新春お年玉みたいな嬉しい芝居でした。
ちょっと前だったら文ちゃんを竜也がやったんだろうなあと思うと、ずいぶん年をとったなあと思いました。
本人に言うと「まだ若いんですってば!」って言ってたけど(笑)
私たちにとっても竜也はいつまでも高校生のような気がしてるんだけどね。
そーいえば、私達もずいぶん年をとりましたが…
あまりにも唐さんの世界を具現化してるので「感動したよ!!すごいよ!!」と言うと神妙な顔で「ありがとうございます」って言ってました。
そこが彼のすごいところなんだなあと思います。
「テントに誘われるんじゃない?」と言うと「やりますよ!!」と言ってたので、ぜひテントに出る藤原竜也
が見たいですね!!
蜷川さんにも、「もっと唐さんの作品をいっぱいやってください!!」ってリクエストしてきました。
何よりも、皆が本当に、楽しそうに舞台に立ってるのが良かったですね!
今だったら、もっと唐さんの戯曲を理解できるんだろうなあと思います。
あの頃はちっともわかってなかったし、唐さんのことは怖いし、稽古は嫌だし、本当につらかったなあと思うけど、今思えば素晴らしい世界にいたんだな。
もうすぐ唐組公演があるので、観に行こうと思います。
写真は、「下谷万年町物語」のパンフと、「唐版 風の又三郎」の戯曲。

そうです。
今度は、ぜひ「風の又三郎」をやって頂きたい!!
蜷川さん、ぜひぜひよろしくお願いします。
「下谷万年町物語」の世界を創ってくださった方々すべてに感謝を捧げます。
本当に、ありがとうございました。
↓演劇って世界を救えると思う。人間を元気にできる。↓

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